重症児とは

 ※当ネットワークでは「重症児」という略称を、用いる場合があります。

 重度の肢体不自由と重い知的障がいとを併せ持った子どもたちです。主に、重度重複の障がい状態を指します。重症心身障がい児という医学的な診断名はなく、児童福祉法(第7条ほか)に定義されている呼び方です。

重症心身障がいが発生する原因は、本当にさまざまです。先天的な原因(出生前)のほか出生時の原因(異常分娩、低体重など)や、新生児や乳幼児期の原因(病気や事故による障がい)も多くあります。

地域での生活

 多くの子どもたちは寝たままで、自力では座れない状態です。移動はほとんどの子が車いす等を利用し、体が拘縮したり変形・側弯があるため手足も思うように動かせません。日常生活における食事、排泄、入浴など大部分は介助が必要です。知的障がいのため、言語によるコミュニケーションが難しいですが、声や身振りで感情を表現しています。意思伝達する時の表現力は弱いですが、周りの大人などの相手の気持ちを読んで、笑顔で応える子どもがとても多いです。

そんな子どもたちの日常を支えるのは母親たちです。特にここ数年は、医療機関の退院支援および地域移行政策が進んで、重度重複障がいのまま自宅で家族と暮らす子が増えてきました。しかし日常24時間にわたる全介助が必要で、健康リスクもあるため気配りが必要な子どもたちですので、母親、本人を含めた家族を支える福祉サービスの充実が、地域には求められるのです。

医療的ケア

 医療技術の進歩や環境の充実により、重症心身障がいになる子どもは確実に増加しています。例えば、かつての医療では亡くなっていた子どもの命が救われるようになりました。そのため日本では、就学前の子たちでも気管切開、経管栄養をしたり、人工呼吸器をつけた子どもたちが増えています。

そうなると自宅や福祉サービス施設での医療的ケアの必要性がとても高まってきます。医師や看護師が対処する時間や医療制度には限りがあるものですから、それらは高度の研修を通じて医療的ケアにも応じられる福祉ニーズに求められてきています(例えば、介護職による喀痰吸引等の研修)。

福祉ニーズ

 医療的ケアによる対処と、重症心身障がい児の地域生活という福祉ニーズとの両方を満たせるよう、取り組んでしているのが私たちです。つまり、重症心身障がい児を主たる対象にしたデイサービス事業を行っています。制度的には「主たる対象を重症心身障がい児とする児童発達支援事業又は放課後等デイサービス事業」(旧法制度からの移行を含む)となります。

母親や家族の次に、重症心身障がい児と最も長い時間を接して、支援しているのは福祉分野のスタッフ・専門職たちです。子どもたちの笑顔をつくり、母親らの安心と将来にわたる地域での暮らしをつくれるよう、その取り組みが全国各地に広がっていって欲しい。そんな思いで「全国重症心身障がい児デイサービス・ネットワーク」が設立されました。(現在は「全国重症児者デイサービス・ネットワーク」へ法人名を変更しております。)